儲けに目がくらむと、自分の首が紋まる

さて、今日のお話は・・・

「儲けに目がくらむと、自分の首が紋まる」です。

今回も伝ちゃん先生のお話しから始めます。
恥をしのんで、私が若かったころの告白をします。宝くじがあたったわけではないのですが、ひょんなことから、ある程度のまとまったお金が私のところに舞い込んだことがありました。貯蓄もなく、まだ若かった私は、このお金をもとにして、もっともっと大きく増やしてやろうともくろみました。

不思議なものです。人間が邪心にまみれて、ギラギラしているときというのは、同じ波動の情報や人を磁石のようにひきつけます。案の定、金融商品を強引に勧めるキツネ目の飛び込みセールスマンが、私のアパートにやってきました。そして、「これからは先物取引の時代だ!」と立て板に水の甘い話で、しつこく誘うのです。

いったんは断ったものの、私の野心を見透かしたように翌日、彼は上司とともにアポなしで再びやってきて、とっておきの極秘情報とやらをちらつかせてきました。「どうやら南アフリカで、金(ゴールド) の鉱山労働者たちの大規模なストライキが計画されているらしい。だから今、このゴールドに先行投資しておけば、まもなくストが決行されてゴールドの生産が少なくなり、当然、値段がぐ~んと高騰するに違いない」ざっと、そんな内容の投資話でした。

これは確かに儲けるチャンスかもしれない、と考えた私は、生まれて初めての先物に、虎の子の数十万円を投資しました。ご存じかもしれませんが、先物取引とは、用意した金額の何十倍ものお金を動かすことができます。儲かるときは、リターンも大きいのですが、逆に損をするときは、半端なく大金が出ていってしまいます。投資金額を無駄にしないためには、通称”オイショ”と呼ばれている追証拠金というものを支払わなくてはいけないからです。われながら、危険な賭けをしたものです。

私は支払いをすませて、アフリカでの鉱山労働者たちのストライキをうきうきと心待ちにしながら、翌日から南アルプスに生徒たちを連れてサマーキャンプに出かけました。そこは、電話も通じにくいほどひなびた山奥のキャンプ場でした。読者の方には、もう結末が見えていることでしょう。

そうです。

鉱山労働者たちと資本家との話し合いが行なわれ、ストライキは実施されず、ゴールドの相場は上がるどころか、どんどん下落していったのです。電話の通じない場所にいたことから、くだんのセールスマンと今後の対応を協議することができず、みるみる損金がふくらんでいきました。ようやく電話が通じる場所まで下りてきたとき、私は自分が、たった1日で、200万円以上の借金をしてしまったことを知らされるのです。

あの伝ちゃん先生がそんな体験をしていたなんて、個人的には信じられません。

この事件から、伝ちゃん先生はとても貴重な学びを得ることができたと言います。自分の儲けに目がくらんだ私は、ストライキが決行されることを願っていました。ストが決行されるということは、鉱山労働者の方たちの日払い給与がなくなるということを意味しており、彼らの生活が困窮してしまうわけです。

労働者の中には、はるばる遠方から家族をおいて出稼ぎにきている人もいることでしょう。間接的であるにせよ、そんな労働者の不幸を願っていたことになるわけです。愚かな自分の邪心が、自分の首を絞めたのです。

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