<h3>脳エネルギー源はブドウ糖からケトン体へ移行</h3>
三食キチンと食べている人に、朝食抜きをすすめる。すると「ムリムリ……お腹すいてめまいがしちゃう!」と手をふります。「頭なんか働かないわよ」。それは、ふつうに食事をとっている人は脳がブドウ糖だけをエネルギーにしているからです。ところが、食事を抜くと脳は別のエネルギー源に「シフトする」のです。ファスティング中に脳は何をエネルギー源に使うのか?カナダのオーエンス博士が興味深い研究を行なっています。その結果は意外なものでした。断食中の脳は、ブドウ糖はたった30%しか消費していませんでした。脳のエネルギー源の50%は「ケトン体」(β・ヒドロキシ酪酸)にシフトしていました。残りは10%「αーアミノ窒素」、10%「アセト酢酸」でした。断食批判論者は「脳はブドウ糖しかエネルギー源にしない。断食は血中ブドウ糖を低下させる。だから脳機能が低下する」と主張してきました。彼らは、断食中の脳は「ブドウ糖以外を栄養源とする」事実に、まったく無知だったのです。
<h3>エネルギーを構成するとされるα波と快感ホルモンで至福感に至る</h3>
断食中の脳の栄養源50%はケトン体です。これは、脂肪が分解されてできる物質です。つまり、ファスティングをすると体内のブドウ糖が減少します。すると脳は体内に蓄えた脂肪を分解してエネルギー源として使うようになるのです。「ケトン体をエネルギー源とした脳は、脳波の一つであるα波を増やし、脳下垂体からはβーエンドルフィンという物質の分泌量が増えることもわかってきました」(甲田医師)α波は心身がもっともリラックスした状態で出てくる脳波です。座禅している僧侶などの脳にハッキリと現れます。さらにβ・エンドルフィンは、別名”快感ホルモン”と呼ばれます。
つまり、ファスティングは心身を平穏に保ち、至福感をもたらすのです。「宗教では心身の浄化のために断食を行ないますが、それはこうしたしくみを経験的に知り尽くしているからなのです」 (甲田医師)
<h3>体内のエネルギー利用の方法が変わってくる?!半日断食でもダイエットに最適</h3>
ファスティング中は脳だけでなく体も脂肪をケトン体に換えてエネルギー源とします。よく「断食は脂肪を”燃やす”といいます。それは、このようなしくみなのです。それは、朝食を抜くというもっとも簡単な半日断食を行なっても起こります。つまり、朝食を抜くだけで体脂肪がしだいに減っていきます。まさにダイエットには最適です。「体質が変わり、体内のエネルギー利用の方法が変わってくることによっても、体脂肪が減ってくるのです」 (甲田医師)
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