深い呼吸は人生もコントロールする

㊥心身調和の秘訣は呼吸法にあり「心身コントロールの鍵は呼吸である」 日本屈指のヨガ指導者、沖正弘導師はこう喝破しています。「体が不安定な状態であったり、心が混乱しているときには、呼吸は乱れている。心身を安定させる第一の秘訣は呼吸を安定させることである」(『実践瞑想ヨガ』日貿出版)

ここで指導している呼吸法は次のようなものです。「……丹田呼吸で、呼吸の幅が深く広いことである。この呼吸の要領を体得する方法としで、座ったままの状態で、息をまず鼻で吐ききり、残った息でハッハッハッと笑うように口で出しきってしまう行法がある」 (沖導師) これは「禅定呼吸」と呼ばれる行法です。 文字通り悟りを開く修養の場で行なわれる呼吸法なのです。 それは次のようにして行ないます。①胸を左右に張って、下腹から力をこめ腹をひっこめながら、息を吐きだす。吐き終わる寸前にパッと下からの力を抜くと、深く大きな息が自然に入っでくる。②十分に息が入ったら、下腹からまたゆっくりしぼりだしていく。全部吐きだす一歩手前で静かに力を抜いていくと自然にまた入ってくる。この意識的深呼吸がリズミカルに行なわれている状態だと、心身の安定度が高まって呼吸が静かになる。㊥「神の座」丹田に意識を集中する すぐにわかるように、この呼吸法では、吐く息のほうが吸う息より長くなっています。 これが長息呼吸法です。それは、別名「丹田呼吸」と呼ばれます。 これは丹田に意識を集中して行なうからです。臍下丹田と昔からいわれるように、東洋医学では丹田は生命の中心ととらえています。それは、ヘソと肛門を結ぷ直線の中間に位置します。「丹田は『神の座』である」「すべての動作を丹田すなわち腰腹力で行なう」。「この丹田に全身の力を集約して、余所の力を抜き去っで動作をするとき、初めて自然体を保つことができる」「この丹田は、生理的バランス維持統一と、物理的統一と、脳の安定の3つを一時に実現するところである」(『ヨガ総合健康法(上)』致知出版) 具体的には肛門が締まり、下腹部に意識と力が集中した状態です。「丹田力を高めるとは、自律神経の働きを高めることである」(沖導師) それは先述の「交感神経」と「副交感神経」のバランスを回復することです。 そのために呼吸を自然に調和させる。ヨガでは、それを「調息」と呼びます。㊨酸秦吸収量は普通人の2・5倍に「最初は丹田呼吸法をやっているが、これをつづけていると、この完全呼吸が自動的になり、

全身の筋肉が呼吸作用に協力しで統一され、静かでしかも和やかな胎息(全身)呼吸法となる」「呼吸法をマスタ1すれば、普通の人の2・5倍もの酸素を吸収することができる」 (同書) 酸素不足は、生命力不足に即つながります。組織や臓器の低酸素こそ、万病の元凶です。酸素は消化吸収された栄養物をエネルギー化すると同時に、神経の主なク栄養源″です。酸素不足は神経細胞の機能も低下させます。 はやくいえば頭の働きが弱まるのです。「生命体のバランスを維持する働きをつかさどる神経、ホルモン、細胞の感受力を整えるのは、自然呼吸法による心身の安定、とくに精神の安定である。呼吸は心身の状態を如実に物語るものであるから、呼吸を整えれば、欲望や感情も整い、その結果、自然に自己の適食と通勤がわかるようになる」(同書) ヨガには、目的に応じてさらにさまざまな呼吸行法があります。 それらに共通するのは腹式呼吸であり長息呼吸である、ということです。

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