潜在意識も長い年月をかけてここまできた。あとは行動の習慣化の徹底だ~読者のみなさんへ~後半

本書を開き、ジョセフ・マーフィーとジェームス・ジュンセンによる幅広い理論をたどるのは、とてつもなく楽しい体験だった。人には奇跡を起こす潜在的能力があるという記述に始まり、より深いところにある心を呼び覚まして心身の癒しに役立てる方法、どうすれば抑制的な思考や不安にかられた行動を克服できるか、自分には富を手にする資格があるという自信を育てるにはどうすればよいか、心を癒す夢をもつ方法、成功を阻む障害をいかにして克服するか、そして、潜在意識を再教育・再プログラムして、自分にもっともふさわしい、愛にあふれ、成功した、健康的な未来を可能にする方法まで。そしてそう、もちろんそれ以外にも多くのことが善かれている。

けれども、この本の中でもっとも私の心に響いたのは、人の人生はその人の考えをそのまま映し出している、ということだつた。私たちは、何に特別に注目し、関心をもつかを自分で決めている。そして、どこに目を向けるかの大半は、私たちの愚考が決めている。つまり、人が人生で経験することは、その人が何に注目し、どんな考えをもち、何を期待し、どうしたいと患うかによって決まる。この点について、マーフィーとジュンセンは、深い洞察に満ちた考えを示している
抑制的な思考にうまく対処しなければ、健康、仕事、人間関係、経済的な豊かさ、そしてそれ以外の人生のさまざまな場面で、私たちのほうが思考に支配されてしまうのだ、と。しかし、非常に嬉しいことに、私たちがときおり自分でつくり出す、変化を妨げる心の抗体を取り除く方法と実践的な練習法を、ジュンセンは本書の中で伝えてくれている。

とはいえ、すべての成功や失敗の根底にあるのは、自尊心の問題だ。自尊心は、私たちの心に備わるもっとも重要な公式の作戦本部または基地であり、人生にどんな種類の経験を引き寄せるかを決定する。自尊心は人生という車輪の中心にあって、何の葛藤も感じずにやすやすと夢を抱き、それを実現するために必要な、すべてのスポークを束ねている。

職業柄、さまざまな病を抱えた患者をたくさん診てきたが、そのうちの少なくとも95パーセントは、自尊心に問題があったといえる。自尊心とは、自分に価値があるかないかという感覚で、自分は愛され、成功し、健康に暮らし、幸福になるべき人間だ、という内的感覚に影響を与えるものだ。

けれども本書では、むずかしい話はひとまず置いて、顕在化、つまり潜在意識に発言力を与えるためのもっとも重要な3つの方法について詳しく説明されている。変化を起こすための第1の方法は、願うことだ。すべての変化は願いから始まる。願いは、潜在意識のカを発揮させ、変化を起こすことを求めるもっとも純粋な潜在能力であり、獣の腹に潜む熱意なのだ。あのプラトンも、願いの重要性を認めて、こんな言葉で表現している

「飼いならした狂気によって魂を導け」。

第2の方法は期待することで、これは願いの次の段階だ。期待すれば、我らが眠れる巨人、潜在意識が目を覚まし、すると期待したことが行動となって実現する。期待はプラシーボ反応の原因であり、必要不可欠なものでもある。そして、期待しなければ、決して成功することはない。

潜在意識の顕在化の第3の方法は想像で、あなたが望む成功した未来像を、心で思い描けばいい。想像力は、あなたの目標に命を吹き込む。あなたにもっともふさわしい、輝かしい未来をつくり出す心のエネルギーなのだ。本書は、古来の知恵を取り入れ、それを心に残るわかりやすい言葉に換えて伝える、すぐれた心の工具箱だ。ここには、過去を手放し、思いがけない変化を引き起こす方法が善かれている。本書は私たちと、私たちの強靭な内なる自己のすばらしい力を結び合わせてくれる。内なる自己は、その奇跡の力を発揮したくてうずうずしているのだ。

リー・プ一口ス (アメリカ専門心理学委員会認定臨床心理学者)

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